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2007年の大晦日。


2007年も今日で終りですね。三十路になって初めての年末ですが、別段変わったこともなく、母親の買い物の運転手をしたり片付けを手伝ったりしながら過ごしています。振り返ってみても、昨年同様「いい一年だったな」と思えたのでよかったです。無論悔いもいくつかありまして、自分の心の狭量さや、力不足を再認識した年でもありました。

しかしながら、やはり4月に東京事務所を作ったのは僕の人生にとって大きくプラスになる出来事でした。30年住みなれた家を一時的にでも離れて過ごすのは刺激的で楽しく、それに東京で知り合えたいくつかの出会い、特に同業であるライムさんやヨシムさんと出会えたことはかなり大きな出来事でした。仲良くしていただいて、とても感謝しています。

・・・来年も、自分の力ではどうにもならないことに悩まされる生活は当分続きそうですが、和歌山と東京を行き来しなければならないという弊害を乗越えて、今年できなかったいくつかのことに来年は挑戦していこうと思います。まずは、大病を患うこともなく息災に新年を迎えられることに感謝するところから一年を始めたいです。(なんだか教科書的ではありますが、こういうことに「感謝する」ことがとても大事だなぁと感じる今日この頃です。自分の中にある不遜さを拡大させないためにも。)

それでは、来年も皆さんの心と身体が健康で過ごせますように。よいお年を。

とある忘年会参加記録。


三日前、非通知の着信が携帯を震わせました。取るといつものSディレクターの声。

「あ、榎本さん今東京?朝ズバッの忘年会来れるかな?三時間後なんだけど

「はーい、いけますよ~」

と即答したものの、三時間後ってすごいなと思いながら作業の手をやめて仕事のスケジュールを頭の中で組みなおしてました。今から二時間でここまで進めて帰ってそこまでやったら締め切りに影響ないか・・・等。
作業ピッチを上げて、二時間後には赤坂に向かう電車の中に居ました。

二つ前の日記には妙なこと書いた僕ですが、もともと飲み会は大好きなのです。ウキウキしながら目的の店に到着。店に入るなり「おお!榎本さんようこそ!(メンバーに向かって)榎本さん入りまーす!」おおお~パチパチパチ、と拍手。しょっぱなから皆さんテンション高いご様子です。何名か以前に直接会ってお世話になっている人たちがいらっしゃったのでご挨拶。じきに乾杯の音頭となり、宴が開かれました。

いや、もう、びっくり。

司会進行の二人組の方が「朝ズバッ!」のテーマ曲に合わせて登場し、珍妙で愉快な掛け合いをしながら視聴率ランキングなど様々なイベントをこなしていき、まったく退屈することなく会は進行しました。その喋りの立て板に水っぷりと言ったら驚愕するばかりで、プロのアナウンサーの方かなぁと思っていたら、後で本人に聞けばディレクターの方とのことで「昔からしゃべるの好きなんスよ」とニッコリ。いやもう見事でした。別にアナウンサーの方もいらっしゃり、やはりしゃべりは見事でした。「こないだのブラピそっくりでしたよ!」と僕の絵をとても褒めてくださり、似顔絵が得意ではない僕には嬉しい言葉でした。

二次会はカラオケでしたが、もっとも印象的なのがプロデューサーの方の「時代おくれ」。言わずと知れた河島英五の名曲です。詩がいいですね。ここに書きたいところですがそれは出来ないのでご存知で無いかたはコチラをご覧ください。僕もこういう男になりたいと思います。
若いスタッフの女の人に笑顔で「君らも付き合うならばこういう男を選びなさい」と語っていたのも首肯できるいい風景でした。取引先だからといって媚を売るつもりは全く無いのですが、そのプロデューサーの方が実に格好よい人でして、50代の方なのですがユーモアとウィットを柔軟に理解していて、外観もスマートでウエストにはメタボの気配すらない。そうして好きな歌は「時代おくれ」という、なんというか「こういう人が現実にいるのだなぁ」と思うくらい格好いい方でした。スケッチブックを持参していたので、カラオケで歌っているところをサラサラと描いてみたら、周りの方に大ウケしまして、本人にも観てもらったら予想外に喜んでくださって、「是非ください」というのでその場で差し上げました。
今思えば周りの人には媚を売ってるように見えたのかもしれないと思わなくもないですが、そのときの僕には自然な行為でした。僕にもマイクが回ってきて、コブクロの「蕾」を歌うと、お世話になってる皆さんや他の方々から拍手やエールをたくさんもらって嬉しかったです。

16時から始まった宴も23時に終焉を迎えます。三次会は電車の都合で参加しませんでした。
いろいろ書きましたが、来てよかったなぁ~・・・・と一番心から思ったのは、Yディレクターに直接会って謝れたこと。前回仕事のご依頼を頂いた時、大阪地裁での裁判を傍聴することになっていたのですが、こともあろうに僕が寝坊してしまい、代わりの絵描きさんを手配するのに右往左往させてしまったことがあって、電話やメールで謝っていたものの、やはり直接会って謝罪できたのが良かったです。

「ははは、まあ一回くらいありますよそういうことも」

と、笑ってくれていたので、この一ヶ月半、ずっと心に重く圧し掛かっていた自責の念がゆるやかに溶けていくのを実感しました。それで許されたわけではないけれど、当時感じた「もう僕は干されるのではないか」等の恐怖はとりあえず無くなりました。二度と繰り返さないための最終兵器も購入しましたし、少しずつ失った信用を取り戻していきたいと思います。

そんな感じの忘年会でした。明日の朝には和歌山の予定なので、これが今年の東京最後の忘年会になりました。数十人の大人数の会で「楽しく過ごせた」というのも僕の中で大きかったです。以上、とある忘年会参加記録でした。

獅子舞イラストを描きました。


和歌山県有田郡有田川町に白岩丹生神社というのがありまして、豊穣を祈願する秋祭りの中に獅子舞奉納というイベントがあるそうです。
神々の使者である、「オニ」と「ワニ」が、暴れる獅子を追い払うという物語を演じるイベントらしいのですが、過疎化が原因か予算の都合か、1988年より長らくその伝統的な祭りが休止されていたのを、若者を中心にした有志があつまり、15年ぶりに復活させたとのことです。
獅子舞奉納を演じる有志を「獅子団」と名乗り、その一人が若者にも地元の祭りに興味をもってもらうため、獅子団のシンボルとしてのイラストと、それを元にしたスタジャンを作ろうとして、僕に話しを持ってきてくれました。こうして伝統的に続いていたけど途絶えた地方の行事というのは多いと思うのですが、若者が集まって復活させようという心意気はとてもすばらしいと思います。郷土愛が深いからなせる業でしょう。

企画立案者である依頼主Mさんの依頼内容も面白かったです。
「2003年からこの行事を復活させたのですが、いつも追い払われてる獅子がかわいそうになってきまして・・・せめてイラストでは凛々しい獅子舞にして、強い「オニ」「ワニ」が武器をほっぽりだして逃げてるような感じにしてください」
なんと、伝統的行事の内容とは逆の立場でのイラスト制作を希望されたのです。
これはこれで面白いな、と思って描いたのが下記のイラストです。ジャンパーに刺繍された場合の想像図も合わせて制作しました。

神社の神事であるから純和風、という枠にはしらばれず、ややアメコミ風な雰囲気も入れてください、という要望もありこういう画になりました。スタジャンに刺繍する元絵という意味合いもありましたので、刺繍機用にいつものPhotoshopで作成されたビットマップ画像ではなく、Illustratorによるベクトル画像での作画となりました。ベクトル画像制作は専門でないため試行錯誤でしたが、今回の依頼が元でいろいろと勉強ができてよかったと思います。

そして先日、依頼主Mさんから一通のメールがありました。
「待望のスタジャンが完成しましたので、画像を送付します。期待通りの出来で大満足です」
おお!思った以上に忠実に再現されていて、たしかにかなりイメージ通りな出来です。それに獅子団のロゴもカッコイイ!

「また居酒屋金屋にでも来られた際には実物を着て駆けつけますね」
と書かれてメールは締めくくられていました。
こうして納品後に喜びの声を聞くのは絵描き冥利に尽きます。
すばらしいな、と思う企画の手助けをイラストで行い、そうして喜んでもらえる。この仕事をやっていてよかったと思えるひと時です。

日ごろ締め切りに追われている慌しい日常の中に、ほっと心温まる出来事でした。

ある日の帰り道。


大勢があつまってわいわい楽しく騒ぐ、という経験が30年の人生で皆無だったためか、折角そういう場に招待していただいてもどうも狼狽するばかりで、初対面の人たちともうまく話すことができず、作り笑顔は露骨に引きつり、気分は盛り上がる会場とは反比例してどこまでも沈んでいき、「いい歳して、僕には社会人としての最低限度のコミュニケーション能力も無いのだ・・・」と涙目でドアガラス越しに流れ行く景色を見ながら帰路に着く午前零時に思う事。


 どうして自分は普通に人と接することができないのか。

 普通に接する必要、ある?

 ある。

 そもそも普通ってなに?

 大人数が苦手で少人数が好き。それでよくない?

 いい大人が、そんな子供じみたこと言うな。

 いい歳して、とか、いい大人が、とか、そういう言葉に縛られてるだけのような?

 しかし、何故彼らと自分はこれほどまでに、

 それは単に隣の芝生。

 お前はお前だろ。

 うるさい、だまれ!

 「楽しい」ってなんだろう。どういう感情を指すんだろう。

 さあ?見当もつかない。


様々な問答が脳内に響くうちに武蔵小金井駅に電車が止まる。満員電車から開放されたはずの身体が重い。引きずるように階段を下る。冷たい風が頬を刺す。

いつもそうなんだけれど、「自分には価値が無い」と思い始めると本当にとめどなく気分は落ち込み、まもなく「生きる価値もない」と思うに至る。こういう思考回路というのは理屈や教育で正されるものではなく、もって生まれたもののように思う。そして多くの場合、第三者の「命は大切にしなきゃ」という手垢の付いたステレオタイプな慰め言葉などは全くその効果を発揮せず、ただただ、精神に一抹の安寧が戻るまで時が過ぎるのを黙って待つしかない。よって大切なのはこうした負のバイオリズムを意識することであり、定期的に襲ってくるこれらの弱くない消滅願望をうまく飼いならしていくということが必要なのだ。

落ち込んでいるときは、過去の失敗をやたらと思い出す。普段悪い記憶力が異常な力を発揮して負の記憶を呼び覚ます。怒声の一言一句さえ、今聴いたばかりのように鮮明に響く。眼前に蘇る羞恥の記憶。「わああ!」と声を上げて転げまわりたくなる衝動。思わず左手で頬を打つ。道に立つ警官がジロリと睨む。今夜はやたらと警官が多い。やたら太くて長い棒を持ってる。あれで狼藉者を殴るのだろうか?骨まで砕けそうだ。少し先に千鳥足の中年。ああはなりたくない。なりたくない。

折角誘ってくれた人に、申し訳ない気持ちで一杯になる。ひたすら醜いローテンションな自分を晒してしまった。次また誘ってくれるかな?誘われて行って、僕は同じことをくりかえさないだろうか?「大人数はちょっと・・・少人数なら参加します」とでも言うか?

脳の疲れを実感しながらドアを開ける。暗い部屋が僕を迎える。着た物を脱ぎ捨ててベッドに横たわる。今日のことは忘れたい。昨日のことも忘れたい。今年起こったことなど、全部忘れてしまいたい。とりとめもなく呟いて、毛布を被る25時。

薄れる意識の中で思う。忘年会とは、よくいったものだな、と。

失敗。


こんなことをここに書くには恥だけれど、
時間とともに風化させてしまうのはいけないので
あえて記録しておこうと思い書くことにします。

3日、仕事で大変な失敗をしてしまいました。
取引先に多大な迷惑をかけてしまい、
誠に申し訳なく居た堪れない気持ちです。
控えめに言って、線路に飛び込みたいくらいの気持ちです。

僕ってなんて馬鹿なんだろう。
なんでこんなことになってしまうんだろう。
「約束は守る」「受注した仕事は完遂する」
これが小さいながら僕の誇りだったのに
自らそれを打ち砕き、見事に先方の期待を裏切ってしまった。

謝罪や反省はもちろんだけれど、
それ以外に僕ができることって何かないだろうか。
いろいろ考えてみたけど、
やっぱり今後間違いの無い仕事をこなして、
少しずつ築きなおしていく以外にないように思う。

3日午前、武蔵小金井駅のホームからしばらく動けなかった。
中央線がよく止まる理由が理屈でなく心で理解できた。
しばらく立ち直れないくらいのダメージです。
自分を苦しめるのは、いつも自分自身で、それは幾つになっても変わらず、
いい加減辟易してしまうのですが、そんなことばかり言っていられない。
二度と繰り返さないための工夫を、今すぐにでも始めなければならない。


・・・・大事な日に「寝坊する」なんて、生まれて初めての経験です・・・・。

プロフィール

榎本よしたか

Author:榎本よしたか
フリーランスのイラストレーター兼法廷画家です。書籍やテレビ番組用に絵を描いています。アコースティックギターと歴史雑学が好きです。

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