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【感想】映画「風立ちぬ」とそのレビューを観て思ったこと。



観てきました。「風立ちぬ」。大作だけにネット上でのネタバレが怖いので公開初日に
「零戦を設計した人が主人公」と言う以外の情報ナシの状態で足を運びました。

※以下、ネタバレしていますので未見の方はご注意ください。

事前の想像としては、

 ・監督の思惑としてあえて零戦での戦闘シーンは無いんだろうな。
 ・大人が主人公だから恋愛要素はあっても結ばれることは無い儚い物語なんだろうな。
 ・堀越二郎の人生の最も華やかな部分が物語の舞台なんだろうな。


といった予想をしていましたが、戦闘シーン無しという一つしか当たりませんでした。
恋愛はめちゃ成就してるし、まさかの結婚までトントン拍子。
そして堀越二郎の半生が語られるのかと思いきや、これは堀越二郎の名を語った別人の話でした。

一度目の感想としては、所作のキレイな人間とは美しいものだなーという感じ。
子供時代から、目がさめた時に布団の脇には朝着るために綺麗にたたまれた衣類があり、
言葉遣いも大正時代のそれはまるで書き文字そのままのような丁寧さです。
その他の登場人物たちの立ち振舞いもみなさん非常に上品です。

話題になっていた主人公の声優、庵野秀明さんの声は特に気になりませんでした。
やたら「棒読みだ」と酷評されることが多いようですが、僕はそうは思わなかったです。

ただ、今までのアニメの声と表現の仕方が違うだけであって、
その違和感が無いかといえばそりゃあるんですけど、今のアニメの声優の演技が是かというと、
それも違うと思うんですよね。

少なくとも「アニメキャラの声は専門家である声優がすべき」の声には賛成できないです。
僕の好きなアニメ「じゃりン子チエ」の声は大阪の芸人さんが多いし、
みんなハマっていてとても良かったですから。

やたらと「大げさな演技」を良しとするアニメ業界のなかで「物静かな技術者」の声を
今までと違う文脈の演技で見せた庵野さんの声への凄まじい違和感から
「棒読みだ」の声が上がってるんだろうと推測してます。
僕個人的には「ああ、こういうしゃべり方の人なんだな」という感じです。

本作は、堀越二郎という人を実に特異な人物に見えるように描かれてるので、
他の人とは空気が違う「特異なしゃべり方」をする人を採用したチョイスは
むしろ正解だったと思います。さて、その堀越二郎、色んな人のレビューを見ていると、

「妹の言うように薄情者」
「病気の妻も思いやれない人でなし」
「戦争に加担しているという葛藤もない人間性」

などと評されたりしているようですが、それはこの主人公の内面描写がなされていないからであり、
具体的に「僕はこう考えて行動している」ということがわかる心理的根拠が明示されていないので
主人公の行動に色んな受取り方が発生してしまうからではないかなと思いました。
そしてそれは意図的になされているんだろうなあと感じます。

唯一明確に描かれているのは、カプローニの「ピラミッドのある世界と無い世界のどちらが良いか」
という問いかけに対して、

「僕は、美しい飛行機がつくりたいだけです」

という答えるくだり。本当に彼の目的は美への追求それだけであり、他に対する人並みの感覚は
持ち合わせていないかのように感じる点が多々ありました。

ここで、「監督は主人公と自分を重ねあわせ、夢だけを追ってきた自分の人生を肯定しているのだ」
的な意見が数多くみられたのですが、「え??そうかなぁ」という感じです。
僕は別に監督と堀越二郎を重ねては観なかったです。

宮崎駿という方はキャラクターとして上場しているようなところがあって、この人はああだこうだと
弄りやすい対象だからこういう論が多くなるのでしょうね。
ちょっと作品を楽しむ際に「監督」を意識しすぎているんじゃ・・と感じる意見がやたら散見しました。
「監督が人格の透けて見えるほどの有名人であるから、この作品はこうだ」というのは
色眼鏡のような気がするんですよね。監督の有名無名と作品の面白さは関係しないと思うんです。
それもひとつの楽しみ方といえばそうなんでしょうけれど。

などと否定的なことは言うものの、ネットで色んなレビューを読むのは楽しいものでして。
映画の楽しみ方は僕は2つあると思っていて、ひとつは作品事態を楽しむこと、
もうひとつは他の人の感想を楽しむことです。優れたレビューは二次創作をみるように面白いし、
「なるほどそういう見方があるのか!」「へえそれは知らなかった」と知識も増えますね。
和歌山に帰省したとき、母が意外にも観たがったので映画館に連れて行きました。
僕は二度目でしたが、知識が増えた分、一度目とは別の楽しみ方ができました。

さて、僕は冒頭に「堀越二郎の名を語った別人の話」と書きました。
一度目を観た後に調べて初めて知ったのですが、本作は堀越二郎と、
同年代を生きた作家、堀辰雄の人生と彼の作品をミックスさせた作品なんですね。
(だから一度目を観た時は「あれ、堀辰雄でてこなかったなぁ」と思いました)

実在の人物堀越二郎の妻は菜穂子なんて名前じゃないし、そもそも戦闘機の設計を任された時は
既に見合結婚していたそうです。
で、堀辰雄の人生や作品中に出てくる結核の少女との悲恋の物語をくっつけて堀越二郎を描いている。

これって、アリなんでしょうか・・・?

やたら堀越二郎と宮崎駿について語っているレビューは見かけますけど、
この映画の脚本の作り方について異議を唱えている人は見かけないように思います。

僕はハッキリ言ってナシだと思います。

つい30年前まで存命だった方の半生が、架空の物語と合体して語られることに対する違和感。
たとえば僕が今後の人生で(ないでしょうけど)なにか人類史に残る偉業を成し遂げたとして、
僕が死んだのち、30年経って、全然関係無い同時代に生きた作家(たとえば悠介とか・・?)の作品と
ミックスされた脚本で「これが榎本よしたかの半生でござい!」と映画化されたとしたら
僕だったら絶対嫌です
そんなことするなら別名にして別人として描いて欲しい。
(火垂るの墓やはだしのゲンがそうであるように)

しかも妻の名前も全然違っていて、出会いのシチュエーションも違い、結核で死んじゃったりしたら、
あの世で観て「おいおいそん時まだ妻死んでねーし!ていうかそれ誰だよ!」とツッコミを入れるに
違いありません。

が、しかしそれを語っているレビューが見つからない。亡くなった人間の人生は自由に改変して
語っても許される空気が日本に流れているということでしょうか。そう考えるとちょっと不思議です。

僕が知る限り著名人では小飼弾のレビューだけがその部分に触れ、
「素材として用いるには「生気」が「枯れて」歴史化が完了するまで待つべきだ」と語られていました。

戦国武将などはかなり改変されたりデフォルメされたりして様々な作品の素材と化していますが、
遺族がこれに文句を言ったりしたとはあまり聞きません。
NHKドラマ「龍馬伝」の岩崎弥太郎の描き方に三菱がクレームを入れたという話は有名ですが、
幕末だとそういうことが起こりうるということでしょうか。
としたら小飼弾の言う「生気が枯れる」のは死後150年ではギリギリ足りなそうです。

信長や義経まで行くと美少女化したりチンギスハンになってても許されてるっぽいので
実在の人物が自由に「素材」として使えるようになるには死後400年くらい必要かもしれません。

そんなわけで、僕にとって「風立ちぬ」は、面白い映画であると同時に、
実在する人物を元に作品を作る場合、その人生の改変はどこまで許容されるのか」について
考えるキッカケになった作品でした。

シベリア560

関係ないけど、妻がスーパーで見つけたとシベリアを買ってきました。
いなげやでこんなのが売ってるのは風立ちぬ効果でしょうか。

劇中でみたとおり、あんまりおいしくなさそう・・・。
スポンジケーキに羊羹をサンドしたお菓子だそうです。
妻曰く「さらっとした食感でおいしかった~」んだそうです。意外な感想だなソレ。

【日記】浴衣の着付けはじめました。

きもの散歩

今年になって始めた新しい趣味のひとつに和装着付けがありまして。
福服&縁さんのイベントにちょくちょく参加して学んだりしてたのですが
この夏になってようやくマイ浴衣ゲットです。

これで少しは夏を風情豊かに過ごせるかなーとご近所の夏祭りや幼稚園の夕涼み会の折に
着ていくのですが、こういうイベントには女性の浴衣姿はもちろん、
最近は男性の和装姿もちらほら見られますね。

和装が再評価されているのでしょうか。近年はリサイクル店なども増えて安く手に入りますし、
敷居が低くなっているのもあるのでしょうね。いずれにしても良いことだと思います。

そういえば、バンコク在住のタイ人の知り合いに「最近着物に凝ってるんだー」と
上記の写真をSkypeで見せたところ
子連れ狼みたい」と言うまさかの返事が返ってきたことがありました。
よくそんなの知ってるなーと言うと「タイでは有名でみんな知ってる日本のドラマ」だそうです。へえー。

夕涼み会

逆に「タイの民族衣装とか着ることある?」と聞くと
「便利じゃないから普段は着ない」とのこと。
着るのは結婚式とか王様の誕生日とか年始のイベントでだそうです。
やっぱりタイ人は王様大好きなんだなぁ。
日本では一般的に天皇誕生日には特に何もしないよ、と言うと「本当に?!」と驚いてました。
たしかに次の日のクリスマスは祝うのに、不思議な民族ですよね日本人。

それはさておき、冒頭の写真、facebookにアップしたときも「子連れ狼だw」的コメントがいくつか。
こうなれば風車も常備せねば!という気になってきました。

娘も赤ちゃん用浴衣を着せたいるのですが、ベビーカーの構造上、
両足がふとももまで顕になるというセクシーダイナマイツぶりを見せてます。
ハイハイはするようになったものの、まだ自力で立つこともたどたどしい娘。
はやく歩くようにならないかなぁ。歩き始めたら始めたで大変だとも聞きますが。

箱根にて

こちらの写真は箱根旅行での一枚。温泉旅館に浴衣は実に合っていて良いですね。

今のところマイ和服は夏の浴衣一枚ですが、今後も増やしていきたいところです。
帯の結び方も今のところ「貝の口」のみなので、レパートリーを増やしていきたいですね。

ちなみにこの趣味、妻にも薦めて見ましたが、「めんどくさい」と一蹴されてしまいましたので
現在、着物仲間募集中です。興味のある方、是非一緒に着物でお出かけしましょー!

【日記】嗚呼、夏のおもひで。

初めてのプール

今年の夏は娘が1歳になったこともあり、いろいろとできることが増えてよかったです。
まずは娘のプールデビュー。
ベランダに設置したビニールプールで毎日のように水遊びをしていました。
これが喜ぶ喜ぶ。

結婚前は、子供用の小さい円形のプールを見ては
「これは一体なにが面白いというのだろう。遊泳できないし、風呂と有意の差が無いのでは・・」
なんて思ってましたが、実際我が子と遊んでやると、ふつうにぴちぴちちゃぷちゃぷしてるだけで
子供はごきげんなのだなと気づきました。
器に複数の穴が開いているだけのおもちゃで水をすくって、
シャワー状にして落としてやるだけで大はしゃぎ。かわいいものですね。

寝てるみーた

で、おわったらそこそこ体力を使うのかお昼寝タイム。
これからもどんどん一緒に遊べることが増えていくのだろうな。
この調子ですくすく育って欲しいものです。

卓上扇風機

関係ないですが、この夏買って良かったものの一つにUSB卓上扇風機があります。
これ、「ちょっと風がほしいな」という時ちょうど良いのですよ。
普通の扇風機の「弱」だと強いし、他の紙が飛んだりするストレスがあったりしますが、
これなら場所も取らず、必要なときワンタッチで微風が来てそこそこ涼しい。
低電力で大変エコですし、オススメです。

【日記】大型テレビとPS3を購入しました。

テレビ開梱

三鷹時代から使用していた32インチテレビを寝室に移動し、
リビング用に50インチテレビを購入しました。これは、大きい。
開梱には娘 が邪魔 も手伝ってくれました。

ちなみに我が家にあるテレビは3台とも東芝REGZA。
番組表のインターフェイスやリモコンの造形と使い勝手が僕好みです。

50インチテレビ

見比べてみるとどのくらい大きくなったのがわかります。さすが50インチ、すごい迫力だ!
すぐ見慣れてしまうんだろうけど!

せっかく大画面になったのだから、DVDではなくブルーレイで映画をみたいなーと思い
ブルーレイプレーヤーを探していたのですが、どうせならブルーレイ再生機能のあるPS3に
してみようと思い直し、購入。ゲームはたぶんしないだろうからと迷いましたが、
スライドショー機能など優れたセンスで魅せてくれ、これまた購入して良かった逸品です。(数年遅れ)

「どうせそんなにテレビみないんだから、買い換える必要ないでしょ?」

と最後まで渋っていた妻もいざ我が家に迎えてみるとまんざらでもない様子。
番組録画が外付けHDDとなり、テレビの番組表から直接予約できる便利さ、
2Tの大容量に満足しているようです。

そして僕も妻もブルーレイ初体験。いやー綺麗ですねこれは!すばらしい!(これまた数年遅れ)
というわけで映画鑑賞時間が目に見えて増えました。ぼちぼちレビューなどもしていこうと思います。

以上、びっくりするほどひねりもなにもない「こんな家電買ったよ」報告でした。

【日記】メガネデビューしてわかったこと。

メガネデビュー

目に入るブルーライトの光量が大幅に削減できると話題のメガネ「JINS PC」を買いました。
眼精疲労の軽減に役立ったという報告を数多く目にしたので
長時間ディスプレイとにらめっこする職業の僕にはピッタリだと思い購入。

幸いにして生まれつき視力だけは良く、小学生のころからファミコンに明け暮れていた
にもかかわらず視力は現在も2.0をキープできており、メガネやコンタクトとは
縁のない生活をしていた僕も、ついにメガネデビューです。
で、一ヶ月ほど使用してみた感想としては、

「正直、効果のほどはよくわかんね

でした。疲労の度合いは数値化されないので体感がすべてですが、特筆するほど楽になったと感じず、
「言われてみたらそんな気が」というプラシーボ効果以上のモノはありませんでした。

ただ、ブルーライトの軽減度合いは明確に数値化されているので、
きっと目に見えない効果はあるのでしょう。

以前、過敏性大腸炎と診断されたとき、原因はディスプレイの見過ぎによる眼精疲労のストレスが
内臓に悪影響を与えている可能性がある、と医師から指摘されたことがあるので、
そういった部分でも副次的な症状への予防効果があるのかもしれません。

さて、メガネをかけることで僕が一番効果を感じたのはまったく別のところでして。

自分でも思いがけない効果だったのですが、上述の通り普段メガネをかけず、
仕事でディスプレイを見るときだけ掛けているわけなのですが、
これが「さあ、仕事をするぞ!」という心理的なスイッチになることがわかったのです。

メガネを掛けるだけで一瞬にして仕事モードになれる!というワケです。

職場は自宅だし、自室だし、趣味のギターを爪弾くのも漫画を読むのも自室。
休憩中に漫画を読み終わって、さあ仕事の続きをするか、という感じでこの辺のメリハリが
全くなかったのですが、「メガネを掛ける」という儀式をするだけで、瞬間的に仕事人間になれる。
我ながら単純なのですが、今のところこの効果が続いているので
メガネデビューしてよかったなーというところです。

意識を切り替えるとき、ほんのささやかでもこうした「儀式」があると
スイッチが入りやすいのかもしれません。そういう発見って面白いものですね。
きっと他にもあるだろうからいろいろ試してみたいモノです。

そんなわけでメガネ掛けてる時の僕は仕事モードですよ!っていう誰得情報でした。おわり。

プロフィール

榎本よしたか

Author:榎本よしたか
フリーランスのイラストレーター兼法廷画家です。書籍やテレビ番組用に絵を描いています。アコースティックギターと歴史雑学が好きです。

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