2016/01/25
【仕事】TBSテレビ「あさチャン!」にちょこっと出演しました。

12月28日、徳島県護国神社に奉納された絵馬について
プロのイラストレーターの見地から意見が欲しいと言われ
取材を受けたのですが、
その様子が29日のTBS「あさチャン」で放送されました。
ひさしぶりの自宅ロケでした。

どういう話かというと
(既にたくさん報道されているのでご存知の方も多いと思いますが)、
週刊少年ジャンプの人気漫画「トリコ」に
登場するキャラクター「猿王」とそっくりの絵を
無許可で巨大絵馬に描いて奉納した画家が居て、
神社側が知らずにお披露目したところ、問題が発覚というお話でして。

「作者はモチーフにしたことを認めているようですが」という問いに対して、
画像を重ねてみたところあまりにもピッタリなので
これはトレースと言われてもしょうがないでしょうね、
というような話をしました。
「モチーフ」という言葉は芸術作品の表現の動機、きっかけとなった
中心的な思想を指し示すものですが、
この場合はモチーフというよりトレースであることは明確ですね。

▲アンディーウォーホル「キャンベルスープ缶」1962年/「マリリンモンロー」1967年
既存のモノをそのまま使うのは画家としてどうかという話に、
そういう現代アートは存在するという話を実例を上げて語りました。
例えばアンディー・ウォーホルのキャンベル・スープ缶やマリリンモンロー。
トム・エバハートのスヌーピーたち。

▲トム・エバハート「3:00PM」/「BORINGSNOWING」/他
ピカソのアビニョンの娘たちにおけるアフリカ原住民の仮面。
村上隆作品に見られる女性都議のモザイクなども、
既存のモノあってのアートであるといえます。

▲パブロ・ピカソ「アヴィニョンの娘たち」1907年/リベリア共和国ダン族の仮面
エバハートはスヌーピーの作者故チャールズ・シュルツから
公認を受けていますが、こうした作品の多くは無許可です。
アート足り得るか、と法的に合法であるのか、は別問題だということですね。

▲村上隆 カフェ・Bar Zingaroにて モデルは塩村文夏都議と見られる。
そして寺社仏閣に奉納するものが
必ずしもオリジナル作品でなければならないという
決まりはないと思います。
実際神社や寺に行くと絵馬にアニメキャラが小さく書かれていたりして
微笑ましかったりするのですが、
厳格にそういう決まりが出来てしまえば
そういう遊び心も封鎖されてしまうわけで、なんだか堅苦しくなりますね。
つまり、
他人の作品をトレースして作品作りすることが悪か?と言えば、
必ずしも悪とは言えず、
漫画のキャラを使用したものがアート足り得るか?と言えば、
過去の例からアート足り得えると言えますし、
絵馬としてふさわしいか?と言えば、
そこは自由でいいんじゃないでしょうか、
というのが僕の本件に対する意見です。
金銭の授受は無かったとのことなので、
ビジネスでないならあとは著作権を持つ作者と出版社の裁量次第ですね、
という話で締めくくりました。
(現状の著作権侵害は親告罪なので第三者が断罪できるものではないのです)
放送に実際使われたのはごくごく一部でしたけれど、
1時間の取材中、こんなことを話をしたのでした、というお話でした。
しかし電話で取材依頼があってから
「2時間後に伺います~」という超スピーディな取材でしたので、
あわてて部屋の片付けに追われ、
図らずも年末大掃除となったのでした。おしまい。
画像出典:West Art Web Gallery/現代美術評論サイト/art alex gallery/Jcastニュース(敬称略)