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【仕事】名古屋ハト男こと村永義雄被告人初公判傍聴記。

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9月14日に名古屋地裁で行われた「ハト男」こと村永義雄被告人の初公判に行ってきました。長年大量のハトへの餌やりを続け糞害や臭害などを引き起こし近隣住民とトラブルが絶えず名古屋市からも行政指導を受けていた被告人、改善されることなく餌を与え続け、ある日それを注意した70代男性を「老人はだまってろ」といいながら胸に蹴りを入れて肋骨の骨折などの重症を加えた傷害事件の初公判でした。地元名古屋では有名人だったらしく、メディアでも度々取り上げられていたとのことで今回の傷害事件に注目が集まった模様。

弁護人からの「あなたはなぜハトに餌をやるのですか」の質問に「ハトが餓死しそうだったのでかわいそうになり・・・思いやりです」と答える被告人。「なぜあなたにハトが飢えているとわかるのですか」「以前公園の前に住んでいて毎日ハトを見ていたので、ハトの気持ちが私にはわかるんです。私がやらないとハトが死にます」などと答弁。事実だとすればかなりの特殊能力ですね・・・。

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「もう、ハトに餌は与えないでくださいね」「・・・・今後は控えます」「いや、控えるじゃなくて・・・」「じゃあ辞めます」といった問答のあと検察側から「規範意識が鈍麻している」と懲役6ヶ月の求刑がなされました。弁護側は執行猶予付きの判決をもとめ、25日に判決が言い渡される予定。

いきなり近づいてきて肋骨を骨折するほどの蹴りをいれておきながら、被害者のほうから先に木のような棒で叩いてきた、指に血が滲んだのでやめてもらおうと思い蹴ってしまった、などと答弁していて被害者はこれを否定。目撃者の証言でもそんなふうには見えなかったということなので厳しい判決になりそうです。

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この方は自分が生きていることの意義をハトに餌をやることで見出していたのかもしれません。他者に承認されなくても、他者に害を与えてでも、この世に自分が生きているのだという実感めいたものを動物の腹を満たすことで感じ取り、それを何よりも優先していたのかもしれません。なぜ何よりも優先するのかというと、他に実感できることが何も無いからではないでしょうか。僕の身近な人にも長年、野良猫に餌をやり続けている人がいます。ご近所に迷惑だからと何度言ってきかせても聞き入れてもらえませんでした。いまは諦めていますが、その人も「その他に自分の生きる意義」が見いだせないでいるのです。今の所周囲と深刻なトラブルにはなってはいないものの、この被告人の行動と内情は同じだな・・・と思い憂鬱な気分になったのでした。

ところでこの裁判、16時からと遅めの開廷だったので翌日お昼のニュースで取り上げられる予定だったのですが、翌朝には全国のスマホからけたたましくJアラートがなり響き、その日の報道は北のミサイルの話題一色に。ニュースはナマモノなのでこういうことはめずらしくないものの、前回も裁判もミサイルでオンエアが立ち消えとなったのであンのエリンギ頭め!と思いましたおわり。

追記:25日、求刑通り懲役6ヶ月の判決がでました。裁判長曰く「餌やりを注意されたことに立腹したという動機に酌むべき事情はなく、犯行態様も危険で悪質」と指摘する一方で「男性に謝罪して被害弁償をする意思を示し、再犯をしないと誓っている」として、執行猶予3年が付いた模様。

プロフィール

榎本よしたか

Author:榎本よしたか
フリーランスのイラストレーター兼法廷画家です。書籍やテレビ番組用に絵を描いています。アコースティックギターと歴史雑学が好きです。

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